中核的教育研究拠点形成、医薬保工連携・融合医科学班 重点戦略中核拠点形成 −可視化と個別化医療−
 
 

班員プロフィール

柴和弘(学際グループ代表)
学際科学実験センター・アイソトープ
総合研究施設 教授
金沢市宝町13-1 宝町キャンパス
電話:076-265-2474
E-mail:shiba@med.kanazawa-u.ac.jp

研究項目:脳神経機能の画像動態解析法の開発


学際科学実験センター・トレーサー情報解析分野
柴 和弘、北村 陽二
  1. 研究概要
    トレーサー情報解析分野では、臨床応用を視野に入れた短半減期放射性核種標識分子プローブを開発し、がん及び脳、心臓などの各臓器疾患の可視化による早期診断法及び治療効果判定法の開発研究を行っている。特に、脳高次機能に関連した様々な疾患における神経機能変化に基づく脳機能解明やそれらの疾患の客観的な早期診断法の確立を目指している。また、がんの種類・特徴に基づいた鑑別診断可能な放射性分子プローブの開発を目指している。さらに、我々が開発した放射性分子プローブを利用した共同研究を進めている。

    図1
    1. アルツハイマー病の可視化
      1. アセチルコリントランスポーター(VAChT)分子プローブの開発
        認知症におけるアセチルコリン神経系の変化としては、後シナプスの変化よりも前シナプスの変化が顕著であることが示唆されている。そこで、前シナプスのシナプス小胞膜に存在するVAChTに着目し、その可視化を目指し、SPECT用の放射性分子プローブとして放射性ヨウ素標識(-)-ortho-iodovesamicol[(-)-oIV]1,2)、またPET用の放射性分子プローブとしてC-11標識(-)-ortho-methylvesamicl[(-)-OMV]3,4)を開発し、モデル動物を使ってその有用性を報告している。

      2. コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)分子プローブの開発
        最初に、ChATに親和性を有する物質探索を行うためのスクリーニング用のChAT活性測定法を開発した5)。この方法を用いて、3000種類のカビ抽出物を調べた。その結果、ChAT活性に影響を与える分画が存在し、さらなる精製の結果、7mgの結晶物質を得た。質量分析及びNMR解析等の結果、フェネチル基及びSO2-が存在する化合物であることがわかった。詳細については現在検討中である。

    2. ストレス性疾患の可視化
      抗不安作用、ストレス緩解及び神経保護作用があるとされているシグマ(σ)受容体リガンドをターゲットにしたSPECT用の放射性ヨウ素標識(+)-para-iodovesamicol[(+)-pIV]6)及びPET 用のC-11標識(+)-para-methyliodovesamicol[(+)-PMV]7)を開発し、インビボにおいても、σ受容体に対して選択的かつ高親和性に結合することがわかった。今後、ストレスモデル動物を使って、σ受容体の変化を調べていくつもりである。

    3. 図2
    4. 遺伝子治療の可視化
      遺伝子異常によって引き起こされる種々の病気に対して、遺伝子治療はその根本治療法の一つとなり得る。実際に臨床応用を考えた場合、遺伝子発現状況をモニターすることは治療指針や効果判定評価にとって極めて重要である。そこで、治療遺伝子発現の状況の可視化の開発研究を行っている。現在、厚生労働省の特定疾患に認定されている脊髄小脳変性症の遺伝子治療研究の一環として、レンチウィルスを用いて、ドーパミンD2受容体(D2R)遺伝子をレポーター遺伝子としてマウス小脳に導入した。そのモデルマウスと125I-IBFを用いて遺伝子発現の可視化研究を行っている。今回はこの研究について報告する予定である。

    5. がんの早期診断及び放射線内用療法を目的とした可視化
      放射性金属核種―配位子―抗体やσ-レセプターリガンドを利用したがんの早期診断及びβ線放出核種を用いた内用放射線治療を目指した放射性薬剤の開発を行っている。放射性金属として99mTc,111Inを用いて、配位子及び抗体の工夫によるがん選択的集積性の向上を目指している。また、β線放出核種の186/188Re-抗体及び131I-標識σ-レセプターリガンドを用いた放射線内用療法の検討も行っている。



管理

構成員

ページ最上部へ  HOMEへ戻る
(C) Japan Society of Disaster Nursing